2008.09.21 前・千葉県我孫子市長 福嶋浩彦氏 『自治体改革のすべてを語る』
去る平成20年9月21日・23日の2日間にわたって、
日本税制改革協議会 主催で開催された前 千葉県我孫子市長の
福嶋 浩彦 氏の講義を拝聴してまいりました。
福嶋氏は、改革派市長として全国的にも有名な方で、2日間の集中講座は
民主主義のノウハウの宝庫と呼べるくらいの中身の濃い研修でした。
|
第1章 市民自治の視点 |
|
1.分権とは何か
●市民自治 … 市民が決めること 永遠の目標
●市民が自分でできることは、市民がやることが市民自治の姿
●民間(市民)でできないことを税金を投入して行う
●ボランティア、NPO団体が「役所がやらないから」「役所の代わりに」 という意識で行っているが、本来は、市民がやれることは市民が やるべきである
●市民から出発点を設けて、市民がやれることを、まず市民が行い、 市民で出来ないことを税金を投入して行う。
●市民に一番近いところ(基礎自治体)に、お金と権限を置くと、 市民がコントロールをしやすい
●一律の理論(国などによる一律の管理)ではなく、自分の地域に 合ったものを作っていく
●自治のよさ … 首長、議員を市民が切る(やめさせる)ことができる お金と権限をコントロールしやすいこと 2.主権者市民は、いかにして行政をコントロールするか
●自治の土台 … 直接民主主義が本来の姿 しかしながら、全員での議論は難しく間接民主制をとっている。
●マニフェスト … 地域づくり、将来像を具体的に示すもの その政策によって地域がどのように変わるかが明記されるべき (財源、年度など数値が入っていればよいと誤解されがち)
●マニフェストは変えてはいけない
●選挙で候補者を当選させて終了ではなく、その後の活動もしっかり見はる
●首長は計画策定への市民参加を積極的に行うべき
●住民による補助金審査の仕組みの確立(我孫子市)
●住民による職員採用の仕組みの確立(我孫子市)
●聖域の部分にこそ市民が入るべきであり、そこに市民感覚を持たせることができる
●予算編成の過程の公開(我孫子市)
●市民債を使っての市民の財政的行政参画(我孫子市)
●市民の参加を促すことが重要
●議会への市民参加
●安全装置としての住民投票制度 |
| |
第2章 二元代表制における首長・議会と市民 |
|
1.首長のありかた
●市長は権力者であることを意識する
●だれとでも同じように接し、特別な関係にはならない
●たとえ良いことであっても、決して裏で決めてはならない
●国ではなく、市民を見る → 市民に対しての説明責任を果たす
●介護保険導入時の我孫子市の対応(我孫子市)
●国から言われたら従うという意識を改革しなければならない
●多選はしない 2.議会のありかた
●自治体の議会においては、市長に対して与党・野党の考え方はない (議会から市長を選出しているわけではないので)
●オープンな議会の場での議論して事を進めるべき
●現状の議員は、単に要望、承認をしているにすぎない
●議員立法、政策的な決議を行うべき
●まずは、執行部提案に対し、修正可決を行うところからスタートしていこう
●我孫子市では、予算審査の修正可決はよくある
●議会基本条例を作り、議会が、自信の責任を自覚するべき 3.求められる改革派議会
●改革派市長 → 疑似議院内閣をこわす (あたかも議会が市長を選んでいるかのような状況を脱却)
●議会の談合で市長を決めるということは、自治体運営から市民が阻害されること
●自分の活動の基盤を、議会ではなく、市民に置くのが改革派市長
●議会とは対立し、談合はしない
●議会が変わらないと、本来の二元代表制になりえない
●本当の豊かな自治には議会の成長が必要
●議会が総合計画を作った例(北海道栗山町)
●国は官僚内閣制、地方は疑似議院内閣制というのが現状 |
| |
第3章 市民の公共をつくる |
|
1.官が公共を独占する時代は終わった
●公共 … 社会のこと 社会総体の動きのこと(広辞苑より)
●社会福祉は民間への委託が多い(官ばかりではない)
●ボランティアやNPOが役所に代わってやっている
●民間への下請けを増やしても、新しい公共にはなりえない
●行政の役割は公共全体のコーディネート 2.「大きな公共」と「小さな政府」
●市民側からの小さな政府論
●官も民も改革しながら連携していかなければならない
●アウトソーシング=コストだけに目的があるように思われがち
●我孫子市における提案型公共サービス民営化制度
●惰性でやっていないか? → 本来やるべきことにリソースが回らない
●質にも注目しなければならない
●質の設定は行政がやってしまっては×
●行政の示した質に沿っただけではコスト削減にはならない
●実際には独創性のあるものがない
●提案された事業を入札にしてしまうと、提案者のインセンティブが 担保できないという現状もある (公開したら提案者が不利になってしまうことも考えられる)
●歩きながら作っていく制度でもある。 3.市民と行政の協働とは
●協働の位置づけがあいまいである
●なれ合いになってしまってはダメ
●目的をもったグループと行政が対等な関係
●補助金を出すことが協働ではない
●権限の置き方は、はっきりと ・わからなくて協働とごまかすのは市民にとって不利益
●行政の提案した質でしか見ないのは× ・民間の提案した質をきちんとはからなければならない
●民間委託を行うことによる職員削減は、団塊世代の退職がある この時期こそ小さい体制にできる
●民間のほうがノウハウが上であるから、民間委託を行うという考え方もある
●社会問題を市がリストアップして、民間のノウハウを募集して 解決する手法もある
●日本と外国の行政に対する趣向の違い
日本…主権者が納税しても何も言わない→主権者としての自覚を持つべき 外国…仕組みを主権者が作っているから、主権者が納得している |
| |
第4章 地域を再生する |
|
1.地方財政の自立を
●主権者市民がコントロールできる場所にお金を置くべき
●少しでも国の補助が入ると、国の縛りが出る → 先に国に説明するようになってしまう ←おかしい
●市民の税金を預かっているのだから、市民の主体で、市民に説明が先
●三位一体の改革 → 1兆円の損
●国税と地方税を入れ替えるべき
●先に発表された総務省の4指標は、自治体が自立するためのツールに!
●起債 … 協議制 → 許可制になっても全く変わりがない
●分権が進まない → 自治体に自立する気がない(責任が発生するから) 2.自治体の適正規模は
●昨今の合併について ・国が面倒を見切れないから … 学者が理由づけ ・市民発での合併なら、基礎自治体がベスト
●ネット社会 → ネット社会であるからこそ、コミュニケーションが大切
●首長は唯一、決断し、これまでの方針を変えられる
●議会が世論として市民を動かせるかが、自治体の規模
●基礎自治体に権限移譲することが初勧告された
3.豊かな自治創造が地域を再生
●我孫子市は、住宅都市であり、個人住民税が中心
●歳入構造が変わった時に対応できるかを2007年問題として早くから意識
●プライバシーを民間委託できない理論はない
●管理、契約の厳格化で対応できる
●組織経営の在り方
●市民だけの委員会は造らない 最後に…
●職員の意識改革が重要
●市長が必死になって走る!(牽引する)
●国と県の言うことは聞かない!
●前例は変えるためにある
●周辺自治体と同じ、横並びなことはしない
●自分たちの自治体に必要なことを自分たちで考える
●(部長・課長よりも)担当者と徹底的に議論すべき |
| |
(付録) 研修風景 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
| |
立川コメント |
|
今回の講師である福嶋さんの我孫子市長時代の改革派としての存在は、
自分が市議会議員に立候補する以前から書籍で存じ上げており、自分が議員に
なるきっかけともなり、直接、話を伺える機会を楽しみに出席させて頂いた。
また、大きな講演会とは異なり、10名ちょっとの参加者と肩肘を並べて、
席を近くしての講演であり、身近な距離間での講演を集中して聴くことができた。
2日間、10時間にわたっての講演内容は、市長として、いかに住民の視点に立って、
市民自治の在り方と実現を追求した3期12年の改革派市長としてのノウハウを
十二分にうかがうことができた。
従来の市町村では、いろいろな委員会に市民を公募するだけで、それを住民参画と
PRしていたが、補助金の審査について市民に大きな権限を与えることによって、
結果、行政では為し得なかった補助金審査が確立できたり、職員採用にあたっても
市民を期限付きの非常勤公務員として守秘義務を守りながら、市民の持つ能力を
最大限に活用して、可能性を秘めた職員の採用を実現するなど、旧来の市町村における
住民参画のレベルをはるかに超えた事例の数々にカルチャーショックを感じずには
いられなかった。
また、自治体がどうしても陥りやすい「近隣市町村との歩調合わせ」「同一規模の
自治体の動向の見極め」を真っ向から否定し、その市町村にとって何が足りないのか、
何が必要なのかを考え、実現していくことの重要性にも共感した。自分自身も、
昨今の三位一体の改革において、もっと権限とお金を国から市町村に移し、市町村の独自性を
出すことが重要だと感じており、国が、単純に一律で考え方を押し付ける手法には限界が
あると感じている。言葉は悪いが、地域にあった市を作ることを目的に、
国から権限とお金を奪い取るために、全国市町村が国に対してぶつかっていく時代が
来るのではないかと思うし、そうしなければならないと感じている。
議会運営においては、自分自身、議員として、市長と議会は一定の距離感を保って
緊張感を持って対峙することが当然と思っている反面、議会に執行部の議案を
修正したり、独自の対案をぶつけるという行為が皆無で、その力がまだまだないと
感じていたのは事実であるが、福嶋講師が市長としても、議会の成長なくしては
本来の市民自治はあり得ないという考え方にも非常に共感できた。
先の全員協議会で、議会改革の必要性について、全国の議会改革の事例を
紹介しながら結城市議会での必要性を提案させて頂いたが、今回の講演を聞いて、
現行制度の下でも、議会が二元代表制の1つとして、市民を巻き込んで、
市民の代表として活動できるノウハウを提供していただけたことも有意義であった。
これまでの議会は、二元代表の1つとして、市民の代表であるにもかかわらず、
執行部のチェック機関、承認期間としての活動の域を出ず、執行部の考え方を承認して
おきながら、いざ問題が出ると、自分たちが承認したことを棚に上げて、
このときばかりと市民側に立って執行部を追求しがちであるが、承認したものとして、
市民に対する責任があることを忘れてならないし、執行部から市民に説明をするのと
同じように、議会も、議会で何が起きて、何が決まったのか、議会として公式に
説明をする義務もある。
福嶋講師の講演で、市長側、議会側、視点が異なったとしても、住民自治を実現する
ための考え方やアプローチ手法には学ぶべきものがたくさんあり、議会として、
議会改革を行い、自らが提案して執行部をリードできる議会とすることで、
議会が執行部に、本来の住民自治の実現をリードできる事例やノウハウを数多く頂いた。
まずは、議会が、真に市民の代表として機能し、執行部に十分対峙できる能力と意識を持ち、
住民を議会に巻き込む技(法的整備や仕組み)を整えることから、スタートすべきと
考えている。
今回の講演は、自分の議員としてのモノの考え方や、市民自治の在り方について、
どういった手法で実現ができるか、市民から必要とされる議会の姿、という点で、
自分の考え方の向上に大いに参考となる研修であった。 |
| |
|
戻る |