2008.07.09 ~ 2008.07.10 「自治体財政研究会 in 丸の内」 参加
公会計研究所・千葉商科大学 会計専門職大学院主催の
「自治体財政研究会 in 丸の内」に参加してまいりました。
写真を添えてレポートしますので、ご覧ください。
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研修レポート |
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(1)子どもにツケをまわさない! ?この人でいいのか??
(講師:公会計研究所 代表・千葉商科大学 大学院教授 吉田 寛 氏)
・会計とは単なるお金の使途の報告書ではなく、その人(首長)に任せたことに よって、住民にとって良くなったのか、悪くなったのかを測る指標として 使うべき。
・能力のない者に税を渡してはいけない。それは悪事に使われる。
・会計責任の要求度は利害関係の大きさに比例し、信頼の程度に反比例する
利害(害)が大きいことが予測されるほど、責任が要求される 信頼が低い者にあずけるほど、責任が要求される
・自治体は住民から税をとって「ありがとう」と言われるような運営を することが、本来の姿である。
・子どもたちは選挙権を持たない。ゆえに現在の政治に対して必ずしも OKをだしていない。だから、均衡財政を行い、将来にツケをまわしては ならない。
(2)子どもにツケをまわさない! ?自治体のバランスシートを読む・首帳のバランスシートを創る?
(講師:公会計研究所 代表・千葉商科大学 大学院教授 吉田 寛 氏)
・自治体のバランスシートでは、住民のために整備をし、提供をしたものも、 自治体の資産として計上されている。 (首長のバランスシートを作るうえではこれらを除外して作成する)
・自治体における固定資産の管理については、地方自治法170条第2項5に 記載されているが、実際には行われてない自治体が多く、新公会計制度に おける標準モデルでは、固定資産の棚卸を行うことが義務付けられている。
・行政運営においては、前任者が支払いを約束したものであっても、後任者が 在職中に支払いが発生し、責任がどこにあるのかが分かりづらい。よって、 それらの金額を貸借対照表に計上することによって、首長の在任期間中に 住民に対する負担を増やしたのか減らしたのかをわかりやすくする必要がある (組織・施設の維持管理費、貸倒引当金、地方債に係る利息がこれにあたる)
・実際に静岡県のバランスシートのデータをもとに、静岡県知事のバランスシートを 作成した
・バランスシートにおいては、住民一人あたりの数値を出して検討することにより 将来にツケがまわされたのか、軽減されたのかが感覚的にわかりやすくなる。
(3)市民自治を理念にした自治体経営と予算改革
(講師:前 千葉県我孫子市長 福島 浩彦 氏)
・市民自治の基本は、市民でどうしてもできないものを市がやる、というスタンス
・主権者のいちばん近い所(基礎自治体)に権限を置くことが、市民が コントロールしやすく理想形である。
・地方分権という言葉があるが、国が地方に権限を分けるというのは本来は おかしく、主権者である国民が、その内容に応じて、地方や国に分けて 委譲するのが本来の姿
・ゆえに権限移譲ではなく、権限委譲が正しい姿である。
・我孫子市では、予算の編成過程の検討結果を全面公開している
→市民の要望を受けた担当課が、要望を予算計上しているかが明確化
→住民の要望が、どの段階でどういった経緯を経て実現されたのか、 または、カットされたのかが明確になり、住民が議論することによって 街づくりの活性化をはかることができる。
→これにより、市民の参加と情報公開が一体で行われる。
・1990年に、市の補助金を全廃し、市民による補助金審査会による 再公募を行う
→既得権の横行を全廃することができた
→市民によるオープンな場で、各団体の要望に対する補助金の必要性を 議論できた
→支給を受けられた団体に新たな既得権が発生することを避けるために、 3年後には廃止、再応募などにより再検討される。
・市長や議会の責任をあいまいにすると混乱が発生
→市民に責任をあずけてはならない
→市民の出した決定どおりに、市長の責任で取り組むという強い姿勢が必要
→物事の決定過程で、市民の審査が入るということが重要
・コネがないと市役所職員になれないという実態にメスを入れた
→公平な採用を目指す
→市民から採用検討委員に入ってもらい、市民の目を活用
→市民から入った委員を、目的終了まで非常勤特別職として守秘義務の 徹底を図る
・市政に対する住民参加は整っているが、議会への住民参加はまだまだこれから
→公聴会制度、参考人制度を活用して、市民の専門家から意見を聞きながら 議員同士が議論したり、態度決定時の参考にすべき
・議員同士の議論を活発化させ、議会側の権限で政策実現を行うべき
→議会には予算を修正させる権限もあり、我孫子市では、委員会中、市職員が 委員会室から退席し、議員のみの議論により、予算修正を申し込むという スタイルがある
→議会による予算修正は手続きが煩雑となるので、上記の議論を経て、 上程者(首長)側からの原案提案のスタイルをとっている。
→議員立法による、議会側からの政策要求をどんどん行うべき
・注意して取り組んでも、人間のやることなのでずれることがあり、 そのブレーキとして、常設の住民投票条例を設置している。
・これからの住民参画において、市民も対話する力を持つべき
→個別で各人の意見を陳情するだけなら、なんらかわらない
→行政には市民の議論をコーディネートする力が求められる
(4)グラスツールが社会変革に果たす役割 ?日本変革のうねり?
(講師:JTR日本税制改革協議会 設立者・会長 内山 優 氏)
・日本の税制はわかりづらい(国税22・地方税45)
・世界は逆にシンプルな方向へ向かっている
・基本的に増税には反対
・毎年、税金の日を決めている (1/1から換算して、すべての税金を払い終える日)
・国からお金をもらわないことで、左右されずに意見を述べることができる。
(5)地方財政にやさしい環境政策 ?子どもにツケをまわす環境政策と子どもに財産を残す環境政策?
(講師:人と自然の研究所 野口 理佐子 氏)
・今の日本は、借金をして環境を破壊している
・今の自然災害は、人災でもある
・地球上はすべてが循環型であったが、人間が唯一、循環できない化学物質を つくってしまった → ゴミ
・代表的な例が水俣病
→胎盤を通って、子供に影響を与えた唯一の病例
→それまで、胎盤は子供を守るものとされてきたが、この症例により、 化学物質は胎盤をスルーするということがわかった
→胎盤をスルーするということは、化学物質は人体にとって想定外の ものであり、存在してはならないものであるということになる
・むやみな都市開発やダム開発は、スラム街を誘発することになりかねない
→ダムの開発によって、自然の中でくらしていた人たちが都会へ出る
→自然の中ではお金がなくても生活できたのに、都会ではお金が必要
→立ち退き・移住のお金はいつか底をつく
→都市部で経済的活動のできない人が、スラム化してしまう
・人間の世代間継承が存在しない街は、街ではない
→都市開発により住宅を供給しても、同じ世代が一気に入り、 一度に年をとり、子供たちが街を去ることによって、空洞化してしまい、 世代継承が行なわれない
・自然界の復活には、人間の視点ではなく、動植物などの視点に立った考えが必要
→ダムを造っても、魚がわかりやすく行き来できる通路が必要
→U字溝による用水路は、生物がその場で生活できなくなるので×
→ヒキガエルの視点で、行き来しやすくすることは、そのまま、 街のバリアフリーにつながる考え方
(6)歳出比較分析表の使い方と自治体の財政分析
(講師:ジャーナリスト・埼玉県和光市議会議員 松本 武洋 氏)
・実際に自分の自治体の決算カード、歳出比較分析表、財政比較分析表 などをもちいて、数字を見るポイントについて指導を頂く。
・類似団体の平均値も掲載されているので、団体の位置づけがわかる
・平均にすればいいというわけでもなく、あくまで平均であるが、 普通と比べて特異性のある部分を追及していくことができる
・総務省は、毎年少しずつ指標の計算式をいじる傾向があり、年度間の比較が しづらい場合がある
・平均的な場合は、そこからはそれぞれの議員があるべき街の理想像をもち、 そこに近づけるためには、どの部分を向上させるべきかを見定め、 理事者に質問をしていくべき(ポリシーで…)
→職員定数が少なく、物件費(外部委託)が多くかさんでいるのが、 はたして是か非かは、その議員の考え方に左右される など…
(7)自治体は秋の健全化指標公表に向けてどんな作業をしているのか?
(講師:ジャーナリスト・埼玉県和光市議会議員 松本 武洋 氏)
・自治体健全化法により、破たん状態、黄色信号の2段階で財政を チェックする指標が制定され、秋から公表が開始される
・すでに、総務相から都道府県財政担当者・監査委員事務局向けに説明が 終了しており、県から市町村の財政担当者・監査委員事務局への説明も終わって いるものと思われる。
・平成18年度決算数値による各指標の計算は完了しているようで、 平成19年度の数値による計算について、各市町村が取り組んでいると 思われる。
・この指標は、決算とは関係がないが、数値内容によっては、議会として 対応をしなければならないレベルのものであることから、数値の根拠などの 資料提出を求めて対応する必要がある。
・さらに、判定境界ぎりぎりで納まっている場合には、粉飾のリスクの 可能性を疑う必要がある。
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立川コメント |
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いまの地方自治を語る上で、まず「財政再建」は切っても切れないポイント。 いままでは我流で見ていた財務諸表についてのアプローチを基礎から指導して いただき、資料を見る糸口をつかむことができた。 また、首長のバランスシートという新しい概念にも触れることができた。 結城でも、大きな箱ものを建設したことがあるが、建設時と、返済開始時の首長が 異なることから責任の所在がわかりにくい。また、元来、議会や首長が長期に 同じ政治に携わらないことから政治の責任がわかりづらいのは、誰もが感じる ところであると思う。そういった切り口に首長のバランスシートの概念で、 未来の住民1人当たりの負担額を提示し、首長が任期中に負担を増やしたのか 減らしたのかをわかりやすく提示する考えは、だれにでもひとめでわかる 指標となるであろう。 総務相のサイトにある各種諸表についても、なんどか見たことはあり、質問の際に 参考資料として活用したことはあるが、そのものの見方、理事者への追及の仕方など、 わかりやすく説明を頂いたことも非常に参考になった。 さらに、昨今の地方分権のスタイルに疑問を持っていた私にとって、 首長経験者である福嶋浩彦氏の視点を実際に聞くことができたことも有意義であった。 福嶋氏は、若手市長の会に属されておられて、著書も拝見させていただいたことがある。 私自身は、現在議員であり、執行側と視点は異なるが、大切なことは執行側、議会側、 住民がしっかりと議論する場をつくっていくこと、住民の目をいかに組み込むかで あると感じている。結城市の場合は、議会において、議員間で議論をする機会が皆無である。 今の議会運営を根本から見直し、また、本会議日程や議事の流れの見直しも必要であると 思うが、なにより、現行制度下で横の議論を実現しているケースに触れることが できたことは有意義であった。 国でも第二次地方分権が叫ばれ、さらなる権限委譲が進むものと思われる。 その受け皿となる市町村の対応如何によって、住民をゆたかにもするし、困窮させる ことにもなる。結城市では実質公債費比率20.5%による、早期財政再建が急務であるが、 こういう時期だからこそ、予算編成に市民を巻き込み、現状を知って頂いた中で、施策を 組み立てて実行していくことが必要でないかと感じている。 私自身も、財務諸表の研究や、議会改革の必要性を認識し、今後も取り組んでいきたいと 決意を新たにした研修会であった。 |
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